私は勤め先の工場では製品の製造に必要な原材料や副資材、消耗品などの調達(購買業務)を12年間担当しており、生産に必要な数千種類に及ぶ資材等の発注をし、納品時の受け入れの作業をしています。
夥しい数の資材や消耗品類が一瞬でも在庫切れにならないよう、担当してから数年間はかなりビビリながら業務に当たっていましたが、数年くらいで自然と脳内に在庫数量表が形成され、どの資材が今どれくらい在庫していて、あと何日で在庫切れになりそうかなどは大体判るようになります。
一見大変な業務のように見えますが、所詮工場内での事務作業でしかないのでそんなに辛いわけではありません。お客さま相手に気を遣う営業担当のほうが100倍くらい辛いです。
業種は違えど、私も営業係を経験したことがありますので、日頃私を訪ねてこられるお取引先の方の苦労もある程度理解できているつもりです。ですので私がいます事務所に来られるお取引先の方には気持ちよく出入りできるよう、様々な雑談ネタを用意して、親しくなったり信頼関係の構築を早めることができるよう努めています。
永くお付き合いいただいているお取引先の方はお互いどういう人物なのかよく知っていますので、対応に困ることは起きないのですが、突如として現れる「飛び込み営業マン」にイライラすることがあります。ついには声を荒らげてしまい、自己嫌悪に陥ります。
ここからは、飛び込み営業マンを「飛込」、私、ダメ人間を「ダメ」として会話のやり取りを再現します。
●昼休みに飛び込み営業
飛込「こんちわ~、〇〇商会で~す。購買担当の人をお願いしま~す」
ダメ「購買担当は私ですが、まだ12時35分、昼休み時間中ですよ」
飛込「あ、私〇〇商会の△△と申しま~す。塗料や溶剤や刷毛などお使いですよね~」
ダメ「あの・・・貴重な昼休みの時間ですので、あと15分してからおいでください」
飛込「いや、急いでいるので、塗料はどちらのものを使っていますか~?」
ダメ「ノーコメントとさせてください。あと15分してから話を伺います」
飛込「いや、急いでいるので。塗料の購入先を教えてください」
ダメ「あなたと私は今初めてお会いするんですよね?」
飛込「ですから~、塗料はどこから買ってるんですか?」
ダメ「それを知ってどうするんですか?」
飛込「教えてくれないんですか~、困るなぁ・・・」
ダメ「あの、私、少し腹を立てているのがわかりませんか?」
飛込「え?全然質問に答えてくれないので腹を立ててるのは僕ですよ!」
ダメ「お帰りください」
飛込「え~、じゃ名刺だけでもくれませんか、上司からは最低限名刺
をもらえと言われてますので~」
ダメ「帰れ!」
こんなやり取りをした日の午後はイヤな気分を引きずります・・・。トホホ
●泣き叫ぶ飛び込み営業
飛込「初めてお伺いいたします。産業廃棄物処理の✖✖社の▲▲と申します」
ダメ「ご苦労様です。今日は月末の多忙な日ですのでお話を伺う余裕がありません」
飛込「わかりました、では当社の概要などを手短に30分程度でご説明いたします」
ダメ「あ、いや、月末で大変なんです。30分でなく30秒でお願いします」
飛込「はい、では産業廃棄物処理はぜひ当社にお任せください!」
ダメ「え、産廃処理は長年お付き合いのある地場老舗の産廃業者に任せています」
飛込「では今までの産廃処理業者とすぐに取引解消して当社にお任せください!」
ダメ「え、それは、ちょっと、できない相談ですね」
飛込「どうしてもできませんか!どうしてですか?あなたはひどい人ですね!」
ダメ「え、何を怒っているんですか?」
飛込「私が誠心誠意お願いしているのに取引できないって何なんですか!!」
ダメ「初めて訪問した事業所で2分くらい話しをして取引契約に結び
付くことなどないと思いますが」
飛込「理屈なんかどうでもいいんだよ。契約取らないと怒られるんだ
よ!もうクビがかかってるんだよ!助けてくれよ!俺はどうす
りゃいいんだよ!うわあぁぁぁ!」
ダメ「落ち着いてください」
飛込「落ち着いていられっかよ!契約取れなきゃ帰れないんだ!くそぅ!
もう二度と来るもんかぁぁぁ!」
ダメ「はい、もう二度と来ないでください」
その2分後、一人トイレで「二度と来るな!バカヤロー!!!!!」と怒鳴ってしまうダメ人間。それにしても、12年も購買を担当していますと結構ヘンな場面に出くわします。世の労働者諸氏はもっと腹の立つ場面に遭遇しているはず。この程度でイライラするのは歳をとったせいなのかな・・・。トホホ