埼玉在住中小企業勤務ダメ人間の思うところ・・・

「中小企業の勤め人」に復帰し「浪人」ではなくなりましたので、ブログ名も元通りに戻しました。

銀行在職中に賭け将棋をしていたダメ人間

昨日に引き続き将棋の話題ですが、これは私が若手銀行職員だったころの思い出話です。正しくは「銀行在職中」ではなく「銀行在職中の勤務時間内」ですね。より一層悪質。

銀行に勤め始めてしばらくは銀行業務を幅広く理解する目的で預金窓口や現金出納係を経て、当座預金係で手形や小切手の扱いを、内国為替係で振込の仕組みや手形の取立などを学び、その後融資業務の基礎を学ぶステージに移ります。

融資業務を担当しますと銀行の業務がどんなものか少しずつ解り始めます。そして徐々にカバンを持ってご融資先であるお客さまの事業所を訪問する機会が増えます。

まだまだ新米融資係員ですので定期的に割引手形をいただきに行ったり、手形貸付の書替で新たな手形をいただきに行ったり、比較的単純な担保不動産の再評価に出かけたりする程度です。

30年くらい前ですので私もまだ20代半ばなのですが、まだ社会人になったばかりで初々しいからか、訪問先の会社ではまるで子ども扱い。

家族経営の小さい会社など訪問しますと、社長の奥様が私の訪問を待ち構えていまして・・・

「ボク、苺のショートケーキがあるわよ~。食べて行きなさ~い」とわざわざ私の好物を毎回用意してくださるんです。私も遠慮せず大喜びでパクパク食べますので・・・

「ボク、来週は栗のケーキにするわよ~。」などと仰って下さる奥様。またまた大喜びする若きダメ人間。

ケーキをペロリと平らげると、次のお客さまの会社に向かいます。その会社も比較的小規模ですが老舗の安定企業で財務内容も堅実。

その会社の社長室に招き入れられた際、和室に将棋盤(四寸盤)があるのに気づき、しかも書棚には棋書(将棋の手筋や戦法を学ぶ書籍)が10冊程度並んでいます。その棋書も「矢倉」をテーマにした棋書が目立ちますので、この社長は「矢倉」を好んで指す居飛車党と判断します。また、棋書の著者が誰なのかを知ればこの社長がどのような戦型を志向するのかも大体判ります。

ここからは、私(ダメ人間)と社長との対話形式で話を進めます。

ダメ「社長さん、将棋お好きなんですね。熱心に勉強しておられることも判ります」

社長「うん、そうだね。忙しくて勉強する時間が無いけどねぇ」

ダメ「あ、お時間あれば指してみませんか?私もあまり自信はありませんが・・・」

社長「おお、いいねぇ、やろうやろう」

ダメ「社長さん、もし私が勝ったら20万円の1年定期預金をお願いできませんか」

社長「いいですよ」

ダメ「私が2連勝なら50万円、3連勝なら100万円の定期預金をお願いします」

社長「いいだろう」

ダメ「では社長の先手でお願いします」

この社長は普段は相居飛車(お互いに居飛車)になることが多いようで、私がノーマル四間飛車を指しますと露骨に嫌がってくれます。2局目は私が先手、手損になることを承知で3手目でいきなり角交換をして動揺を誘って筋違い角。当時はこんな角交換を邪道と考える人が多かったように思います。私が2連勝でしたので3局目は社長が先手。またノーマル四間飛車を指したと記憶しています。これも勝って3連勝。

社長「いや~、振り飛車を相手にするのは苦手でね~。でも楽しかったよ~」

ダメ「ありがとうございました。では100万円を1年間お預かりします」

社長「また指そうよ。定期預金は他所の銀行から払い出してきて300万円預けるよ」

ダメ「ありがとうございます\(^o^)/」

よく接待ゴルフとか接待麻雀と称して、お客さま相手に故意に負ける人がいますが、私は考え方が逆でして、お客さまといえども手加減せず本気で戦います。その方がお客さまも喜んでくださいますし、お客さまとの間により親密な信頼関係が築けるようにも感じます。仮にこの社長のご機嫌を伺い、故意に負けてあげても300万円の定期預金などしてくれなかったと思います。

勤務時間中にこのような賭け将棋をしていたこともいい思い出。銀行という業種を離れてから20年近く経ちますので現在の銀行業界のことは分かりませんが、今の時代にこんなことをしていたら処罰の対象にでもなるんでしょうか?

明日も銀行勤務のころの思い出話にしたいと思います。本日もお読みいただきありがとうございました。