埼玉在住中小企業勤務ダメ人間の思うところ・・・

「中小企業の勤め人」に復帰し「浪人」ではなくなりましたので、ブログ名も元通りに戻しました。

ソリが合わなかった飛び込み新規営業を切り捨てた話・・・

勤め先で調達や購買を13年以上担当していまして、何度か珍しい経験をしています。特に新規営業開拓のために飛び込みで来られる方とのやり取りは印象に残ることが多いように感じます。

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7~8年前になりますが、塗料やシンナー、刷毛などを納めたいという新規の業者の方が飛び込みで来られました。30才前後の若い男性ですが、異常なほど自信満々で堂々としています。

訪問者 「塗料や溶剤の販売をしています〇〇商会の、私、△△といいます」

わたし 「はい、こんにちは、初めまして、宜しくお願いします」

訪問者 「早速ですが、塗料や溶剤(シンナー類)はどちらから調達していますか?」

わたし 「うーーん、それはノーコメントとさせてください」

訪問者 「溶剤(シンナー)だけでもどこから買っているのか教えてください」

わたし 「溶剤の調達先を言ったら、塗料の購入先も判ってしまいますよ・・・」

訪問者 「では塗料はどちらのメーカーのものをお使いですか?」

わたし 「それもノーコメントにさせてください」

訪問者 「御社の仕入れ原価圧縮のために協力したいので是非教えて下さい」

わたし 「塗料や溶剤は現在の仕入れ先に何ら不満はありませんし・・・」

訪問者 「溶剤はお安くします。16リットル缶で50缶買って下されば・・・」

わたし 「16リットル缶を50缶で、1缶いくらなんですか?」

訪問者 「2000円でお納めできます。これより安いところは無いと思います」

わたし 「うん、確かに安いね」

訪問者 「ウチが一番安いですか?」

わたし 「さすがに最安値ですね。でも、この価格で販売したら利益出ないでしょ?」

訪問者 「赤字覚悟ですよ。では決まりですね。溶剤はウチがお納めします」

わたし 「あ、最安値とは申しましたが、購入するとは限りませんよ」

訪問者 「最も安いんですよね。だったら決まりでしょう」

わたし 「価格だけでなく、総合的に判断しますので・・・」

訪問者 「調達や購買の担当でしたら、最安値の品を買うのは義務ですよね」

わたし 「いや、それはどうかな・・」

訪問者 「最安値以外の品を購入していたら、会社に対して不利益を与えますよ」

わたし 「だから、価格や品質、納期、供給安定性など総合的に判断します」

訪問者 「ウチが最安値ですから、1番手に考えてください。次は塗料ですが・・・」

わたし 「塗料は現在使用しているメーカーや銘柄を替えることはできません」

訪問者 「え、そんなことを言ってたら大損しますよ」

わたし 「現在使用している塗料は十分安く納入していただいてます」

訪問者 「今の購入先より絶対に安くします。塗料もウチから購入したらいいですよ」

 

安く納品することだけを主張してくるのでイライラしてきました。この手口に乗せられて調達先を替えますと、2回目以降は値上げを要求してくるのが常套手段。十分警戒しなければなりません。この訪問者には諦めて帰ってもらった方がよいと考え、ウソを織り交ぜて話を進めます。

 

わたし 「安い安いと仰るのですが、私個人的には安い品は困るんですよね・・・」

訪問者 「え、どうしてですか? 安かろう悪かろう・・・とでも考えてます?」

わたし 「いや、安値で売って儲けが薄ければそちらに取引メリットはないですよね」

訪問者 「いやいや、そんなことはありません」

わたし 「そんな薄利では、私に対してお中元やお歳暮を贈ったら大赤字ですよね」

訪問者 「え?」

わたし 「販売先の調達担当者などにお中元やお歳暮を贈っていますよね?」

訪問者 「あ、あー、そう・・・ですね」

わたし 「あまりに薄利で、お中元やお歳暮をもらえなくなっては困るので

      ある程度余裕を持った価格設定をして、十分に利益を確保して

      欲しいんですよね」

訪問者 「それは考えていませんでしたね・・・」

わたし 「お中元、お歳暮、それに5月は私の誕生日、贈り物を楽しみにしてますよ」

訪問者 「あ、はい・・・」

わたし 「それから、一度決めた価格は1年間は値上げは認めません。いいですね」

訪問者 「あ、価格は結構変動するものですから・・・約束はできませんね」

わたし 「価格は変動するんですね。値下げは大歓迎ですよ。さて、溶剤

      確か1缶2000円でしたよね」

訪問者 「今一度考えさせてください」

わたし 「契約前から値上げですか?」

訪問者 「また出直してきます」

 

こんなやり取りがありまして、この訪問者は二度と来ませんでした。激安商品をチラつかせて新規取引に入り込んで、2回目以降は値上げ、別の物品も拝み倒して買わせる手段です。異常な安値を提示してくる訪問者には、「この担当者、面倒くさいイヤなヤツだな」と思わせることです。時には悪役を演じることも必要かと思います。

あ、すでにお取引いただいている会社や担当の方にお中元やお歳暮を要求したりしてませんヨ(^^)