10月16日以来の古銭の紹介です。この数日のブログは勤め先の会社の不満ばかりを書き連ねてしまいましたので、気分を変えたいと思います。
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太平洋戦争の長期化と戦況の悪化で金属の不足が著しくなり、硬貨に使われる材料、銀や銅、ニッケルやアルミニウムも枯渇し、いよいよ硬貨の材料に困ってしまったのですが、当時日本の支配下にあった東南アジアで豊富に産出されていた錫が硬貨の材料に採用されました。
しかし、錫は金属の中でも非常に軟らかく、融点も230℃と低いため、硬貨の材料には適さないのですが、昭和19年当時、材料を選んでいる場合ではなかったのではないかと考えます。硬貨の意匠も単純で、デザインにまでこだわっている余裕などなかったのだと思います。
↓ 10銭錫貨 昭和19年のみ発行 錫93% 亜鉛7%
↓ 10銭錫貨の直径は19mm。1円硬貨(20mm)よりやや小さいです
10銭錫貨の重量は2.4グラム。1円硬貨が1グラムですのでかなり重いです。
↓ 10枚×10列×10段=1000枚の10銭錫貨
↓ 近づいて撮影します
↓ さらに近づいて撮影。ハンダのような色合い。
↓ 列をグシャグシャに崩します
↓ 近づいて撮影します
↓ さらに近づいて撮影。戦況の悪化で物資が無い時代を象徴する遺産だと思います。
昭和19年の1年間のみの発行で終わってしまったのは、戦況の悪化で錫の産出地である東南アジアから日本への輸送路が断たれたためです。何もかもが逼迫した状況だった昭和19~20年の日本の様子を今に伝えてくれている硬貨です。