3日前の11月5日に紹介しました「10銭錫貨」と同時期に、デザインが同一の「穴アキ5銭錫貨」が発行されていました。
「10銭錫貨」と同じく、発行は昭和19年のみ。表が桐と菊の紋章、裏は「大日本」「昭和十九年」の文字だけのシンプルな意匠。日本の戦況悪化で何事にも余裕が無く、硬貨のデザインなどにこだわっている場合ではなかったのだと思います。
↓ 穴アキ5銭錫貨 昭和19年のみ発行。錫93% 亜鉛7%
↓ 直径は17mm。1円硬貨(20mm)に比べて一回り小さいです
3日前に紹介した「10銭錫貨」は直径19mm。それより2mm小さいです
「10銭錫貨」と「穴アキ5銭錫貨」は親子、或いは兄弟のように見えます。
なお、額面が10銭の錫貨は1種類しかありませんので「10銭錫貨」と称していますが、額面5銭の錫貨は2種類ありますので、区別するために「穴アキ5銭錫貨」「鳩5銭錫貨」とそれぞれ称しています。「鳩5銭錫貨」については10月2日のこのブログで紹介しております。
↓ 10枚×8列×7段=560枚に40枚をプラスして600枚の「穴アキ5銭錫貨」
「10銭錫貨」が4億5千万枚も発行されたのに対し、「穴アキ5銭錫貨」の発行枚数は7千万枚。「穴アキ5銭錫貨」は私の手許にも630枚しかありません。
↓ 近づいて撮影
↓ さらに近づいて撮影。地味な硬貨ですが、たくさん集めると見映えがするかも・・
↓ 崩します。600枚しかないので迫力不足です
↓ 近づいて撮影します
↓ さらに近づいて撮影します
発行されてすぐに終戦を迎え、凄まじいインフレになったため、この額面の硬貨は使われる機会が一気に減りました。そのためか殆ど未使用の「穴アキ5銭錫貨」も珍しくありません。
「10銭錫貨」と同様、硬貨に適さない材質でデザインもそれほど凝っていません。この硬貨が発行されたころの日本は何もかもが逼迫していたのですが、そのような状況を現在に伝えてくれる歴史の証人のような気がしてなりません。