埼玉在住中小企業勤務ダメ人間の思うところ・・・

「中小企業の勤め人」に復帰し「浪人」ではなくなりましたので、ブログ名も元通りに戻しました。

「金融自由化」と聞くと吹き出してしまう無礼千万ダメ人間

昨日は新聞の株価欄の銀行の並び順について思うところを述べさせていただきました。

現在の勤め先、名もない中小企業で働き始めて18年目に入りまして、かつて銀行に勤めていたことなど殆ど意識することなど無くなってしまいましたが、このブログを書き始めてから、「銀行に勤めていた頃のエピソードは案外面白いかも・・・」と感じていまして、少しずつ記憶を呼び起こしているところです。

幸いなことに、私は二つの銀行に勤めたことがあり、一つは都市銀行、次いで第二地方銀行です。ブログで紹介するエピソードはどちらの銀行で起きたことなのかを伏せておきたいですが、同じ銀行でも都市銀行と旧相互銀行第二地銀とでは規模も性質も異なり、ハプニングやアクシデントの性質も微妙に違ってきます。

まぁ、二つの銀行はどちらも経営破綻で消滅してしまいましたので、エピソードを遠慮なくブログに書きこめます。

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銀行に在籍しているころ、最も驚いたのは「上司や先輩の3割くらいは全く勉強していないし政治や経済などの基礎知識が著しく乏しい」ことでした。朝、新聞を読んでこない職員など珍しくありませんし、簿記3級に合格できないどころか「借方と貸方」「抵当権と根抵当権の違い」すら解らない者までいるからビックリです。

さすがに貸付や外為を担当する職員は日頃から勉強していますし、知識も豊富で尊敬できる方が多かったですが、営業しかできない職員の中には「理屈じゃないんだ、気合と根性で預金を奪い取るんだ」といったスタイルの職員が一定の割合で存在していました。そういった人々は知識ゼロですが、一つだけ褒める点をあげれば、営業車(塗色が白の軽自動車)の運転が素晴らしく上手いこと。

ところがそうした知識ゼロの職員は支店長や地域を統括する役員にまでお中元やお歳暮を贈り、年始の挨拶に自宅まで訪れ、支店長や役員の奥様のお誕生日にはプレゼントをしっかり用意。日曜日はゴルフのお供を欠かさず、支店長や役員の家まで押しかけて洗車や靴磨き、庭の草刈りにまで精を出しますので、トントン拍子に出世していくわけです。

同じ年齢で、中小企業診断士社会保険労務士宅地建物取引主任者(当時の名称)、行政書士などの資格を有し、実務能力にも長けており、お客さまにも信頼され、支店の貸付業務に関連した目標数値をクリアしているウルトラ職員がいましても、知識ゼロのゴマスリ軽自動車ドライバーの方がワンランク上位の役職に君臨してしまいます。

支店長や副支店長、次長になりますと、支店の朝礼で訓話のような話をするのですが、日頃はゴルフのことばかり考えていて、新聞も読まない、今日の日経平均がどれくらいなのか、円相場や長期金利がどうなったのかもわかっていないのですから、訓話はハチャメチャです。

ある日の朝礼でそのゴマスリ男が付け焼刃の知識で格好いいところを見せようとした場面です。

「えー、ゴホン・・・。いいか、お前ら・・・。銀行はなぁ・・・、大変なんだよ。真面目にやっとるか? とにかくな・・・、金融はなぁ・・・、金融はな・・・・、金融は・・・、自由化なんだよ!!!・・・・・。いいか、おい、根性で頑張れよ・・・」

もう、この瞬間、笑いをこらえるのに必死。朝礼で当時盛んに語られていた「金融自由化」という言葉を披露したかったんでしょうけど、それが何なのか解っていないので、メチャクチャになってしまいました。アハハハハ。

周りの人たちも唖然としていましたし、こんな楽しい朝礼は最初で最後ですね。

現在では金融業にあったさまざまな規制がどんどん撤廃されて「金融自由化」という言葉自体が語られることは少なくなりましたが、ふとした時に「自由化」というワードを耳にするとこの朝礼を思い出して吹き出してしまいます。\(^o^)/