埼玉在住中小企業勤務ダメ人間の思うところ・・・

「中小企業の勤め人」に復帰し「浪人」ではなくなりましたので、ブログ名も元通りに戻しました。

男女共学の公立伝統校はダメ人間養成所か? その2

昨日の続きです。

「明治時代からの歴史と伝統を誇り、旧制中学からの流れをくむ地域ナンバーワンの男女共学の公立高校」は、その居心地の良さが災いして、結果としてダメ人間を養成しているのではないかと感じています。

こうした「地域トップ校」「地域の伝統校」の教育環境が悪いと批判しているのではありません。むしろ逆で、こうした高校には「その地域にある中学校で学力上位層に位置していた、素直で明るく、中学校の生徒会や部活動や行事などではリーダー的存在だった生徒」が集まってきます。ですから教育環境は極めて良好です。

従って、学校内では常に知的な会話が飛び交い、授業も部活動も活気に溢れている。上級生の先輩も「地域トップのレベルの入試を勝ち抜いてきた仲間」として優しく接してくれるし、先生も生徒を信頼しているので大人として扱ってくれる。校則は無いに等しいくらい緩い。

サボったり、無断欠席をしたり遅刻をする生徒や、ましてや中退してしまう生徒など極めて少数。3年間を通じて中退者が一人もいない学年があったりします。

県内トップ校でもなく、全国的にはそれほど有名な進学校でもありません。それでも国公立大学には100名以上の合格者を輩出し、地域での評判は極めて高く、その高校に通っているというだけで鼻高々といった3年間を過ごせてしまいます。

 

こうした3年間を過ごし、誰もが憧れるような有名大学、名門大学に進学できた卒業生でしたら、もう高校のことなど忘れてしまって大学のキャンパスライフをエンジョイするかと思うのですが、そうではない卒業生が多いんです。

「必死に頑張って第一志望の大学に入ったけど、大学が面白くない」

「大学の友人はできたけど、高校の友人ほど親しくなれない」

「大学には都会の超一流進学校出身者がゾロゾロいて日常会話すら噛み合わない」

「有名大学に通ってはいるけれど、”普通の人”に戻された感じ」

「戻れるものならまた高校生になりたい。現役高校生が羨ましい」

「大学での孤独感がイヤ。高校が懐かしい。あの頃に戻りたい」

「高校卒業して2か月経過。そろそろ同窓会やりませんか・・・」

こうした声がTwitterなどを通じて聴こえてきます。誰もが羨む有名大学、名門大学に通っているのに、高校に戻りたくなるくらい「地域トップの男女共学校」の居心地は彼ら、彼女らにとっては素晴らしいものだったのです。

 

それでも、誠実で真面目な努力家が多い「地域トップ校出身者」ですから、大学でも殆どの科目で「優」を取得し、留年などもせずしっかり優秀な成績で大学を卒業します。地元の県庁、市役所、民間では地方銀行、信用金庫、地場老舗企業に就職する人が比較的多いです。また、小学校~中学校を通じて学力上位でリーダー的存在だった人々ですから「学校という空間」が大好き。そのため小中学校の教員を目指す人が非常に多いのが特徴です。

相当な努力をして公務員試験を勝ち抜き、あるいは有名企業に採用されたり、教員採用試験の狭き門をこじ開けて晴れて「先生」になって大好きな「学校という空間」に戻れて喜ぶ「地域トップの男女共学校」出身者たち。

4月になり、働き始めた途端にこの人々からの悲鳴が響きます。

「働き始めて毎日叱られてツライ。叱られた経験が無いので困惑する日々」

「職場にまったく馴染めない。出社するのが苦痛。辞めたい。ツライ」

「初めて味わう挫折。これが世間の厳しさか、知らなかった」

「生徒として通っていた”学校”と、職場としての”学校”は別物。教師辞めたい」

「職場は地獄。どうやって耐えているのか不思議。誰か教えて・・・」

「会社勤めなど誰でもできるものと思っていたけど、自分には無理ゲー」

「高校時代が人生のピークだった。あと数十年どう生きていけば・・・」

もちろんこれは「地域トップ校出身者」のごく一部の声だと思いますが、私の高校の友人で、特に教員になった人々の「心を病んでいる人」の割合が多いことが気になりますし、私自身の経験からも、メンタルが弱い人が多いように感じます。

私の長男の高校の同級生は、有名大学に入学しながらも、頻繁に高校の同窓会を繰り返し開催しているようですし、現在居住している地域の小中学校に、長男の通った高校の先輩が多数教員として働いていますが、「心を病んで」リタイアする先輩が目立ちます。

同じ「地域トップ校」でも、埼玉県内にいくつかある「公立男子校の名門」出身者は骨太な印象を受け、実際「心を病んで」いる人にお目にかかったことはありません。

また、「私立の新興スパルタ進学校で驚くほど厳しい受験勉強を強いられて、毎日泣きながら過ごした高校生活を経て大学に進学した人々もメンタルが強いように感じます。私の知人でもこれに該当する人がいますが、勤め人になっても「高校の頃に比べれば全然辛くない」と話していたのが印象的。

 

「地域トップの男女共学伝統校」は前述の通り毎日が愉快な楽園。地元住民からもチヤホヤされて甘やかされていたのかなぁ・・・。と自らの経験からそう感じます。

しかし、私は長男を自分の出身高校に似ている「明治時代から続く旧制中学の流れをくむ地域トップの公立男女共学校」に入学させました。高校野球などでも、自分に関係がなくてもこうした「伝統校」「トップ校」をつい応援してしまいます。私はこうした「地域トップの公立男女共学校」を否定する気は全くありません。むしろ今もこうした高校を贔屓にしています。

ただ、「地域トップ共学校」が楽しく緩いのは事実。こうした高校に通う生徒には、大学進学後や就職後に心が折れないように、早い段階で保護者が負荷を与えてメンタルを鍛えてやるサポートが必要なのではないかとも感じます。

昨日と今日の二日間にわたりお読みいただき、ありがとうございました。