昨日に引き続き、9月8日(土曜日)の日本経済新聞朝刊の記事から考えたことを述べさせてください。
11面にあった面白い記事、「退職者AIで予測」です。リクルートホールディングス社が進めているもので、人工知能(AI)を使って退職の恐れがある人を察知し、その職員に対して管理職が早めにアプローチして退職を防ごうというものですね。
↓ この記事です
記事によると、AIには「現在の業務」「性格診断」「労働時間」「人事考課」などのデータを蓄積し、過去の退職者のデータと比較して、半年以内に辞める可能性が高い職員を予測するのだそうです。
退職しようかと考えるきっかけは、前述のような「会社内の事情」が最も影響しますが、その職員の家庭内の事情や個人的な諸問題も大きく関係してくると思います。したがって、このAIシステムにはこうした家庭内事情や個人的な問題についてのデータまで蓄積しているのではないかと勘繰ってしまいます。
実際、私がこれまで30年以上にわたって勤め人をやってきまして、中途退職しやすい人々のイメージや共通点には思い当たるところがあります。
●中途退職をしやすい人々の特徴
1 中途採用で入社
2 実家が会社経営をしているか、富裕層で賃貸アパートや駐車場を運営している
3 独身
4 共稼ぎで配偶者(妻)が看護師などで高収入を得ている
5 子どもが学校を卒業し勤め人になり、扶養しなければならない家族が減った
6 転職に有利な免許や資格を複数持っている
7 周囲の職員と比較して客観的に見てポテンシャルが高い
8 同僚や先輩、上司の中に極端に能力の低い人物が一人でもいる
9 「辞めたい」と周囲に言ったことが無い
10 新聞や経済誌を購読し日頃からよく勉強している
11 周囲がその職員に依存し過ぎている
12 親を介護しなければならなくなる日が近い
などなど、ほかにもいくつかありますが、概ねこのような状況の職員は退職のリスクが高いと思います。会社はこうしたデータをも集めてAIシステムに情報をインプットしていなければ正確な予測ができないのではないかと思うんです。
私などは、今の勤め先を早く辞めたいあまり、2人の子どもに大学進学を望まず、高卒公務員になるよう勧めました。今年の春に2人目の子どもが高校を卒業すると同時に地方公務員の事務職として働き始め、扶養しなければならない家族は妻だけになりました。
周囲にも「子どもを養う責任が無くなったことだし、そろそろ辞めたいな~」などと漏らしているのですが、このAIだと「辞める辞めると言いながらなかなか辞めないウソつきダメ人間で予測不可能」と判定されるかもしれません。