埼玉在住中小企業勤務ダメ人間の思うところ・・・

「中小企業の勤め人」に復帰し「浪人」ではなくなりましたので、ブログ名も元通りに戻しました。

「日輪の下に」が注目を集め支持される理由を考える

2月11日(祝日・月曜)に開催された「第44回日輪の下に」の映像が少しずつYouTubeで視聴できるようになってきています。またこの数年の「日輪の下に」の映像も楽しむことができます。

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さて、昭和52年から続く「日輪の下に」。高校の応援団、応援部、応援指導部が校歌や応援歌などの演技を披露する場なのですが、これほど長期にわたって多くの人々の注目を集め、支持され続ける理由はどこにあるのかを考えてみました。

最も考えられることは、六校固定でいずれも旧制中学からの流れをくむ名門校であり、入学するのには相応の努力を要する高校ばかりであることが背景にあると思います。

教育ジャーナリストの、おおたとしまさ氏の著書「地方公立名門校」(朝日新書)の205頁から215頁あたりにある「名門校のハビトゥス。名門校に古くから伝わる習慣や習わし、教育理念や反骨精神、道徳心や倫理観、それらが複合的に混じり合って醸し出す独特の価値観を指すのではないかと私は勝手に解釈していますが、この「名門校のハビトゥス」が「日輪の下に」の舞台から感じられるのではないかと思えてなりません。

↓ 朝日新書「地方公立名門校」おおたとしまさ氏著

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「日輪の下に」ではかなり羽目を外す場面があったりしますが、ここに集う応援団、応援部、応援指導部の方々はみな高い学力を有していることは誰もが知っていますので、好意的に捉えてくれることが多いと思います。

ここで話題が横道に逸れますが、今年の「日輪の下に」で松山高校の学生注目「松山高校は偏差値がダントツ」という自虐ネタを披露して場内を湧かせていました。松山高校の入学難易度は他の5校に比べて低いことを笑いのタネにしていますし、何年か前の「日輪の下に」でも他校から「松山高校の生徒の脳は2グラムしかない」などとイジられていましたが、これはあくまで会場内を沸かせるための演出。

実際には松山高校の理数科の入試偏差値は65前後で熊谷高校や不動岡高校の入試偏差値に迫っていますし、松山高校普通科にしても入試偏差値は60前後。この偏差値ですと、中学校で上位20%くらいに位置していませんと合格できません。つまり中学生が5人いますとそのうち1人しか松山高校に合格できません。5人中4人は松山高校に入学することはできません。かなり入学が難しいんです。六校の中には、中学生が50人とか100人いて、その内1人しか入れないような浦和や春日部、川越のようなスーパー難関校が存在していますので松山高校がやや見劣りしてしまうのかも知れませんが、一般的な相場からすれば十分入学が困難な高校だと思います。

さて、「日輪の下に」が多くの人々に注目され支持されるもう一つの理由が、各校の校歌や応援歌が、何度聴いても心に響く名曲揃いであることにあると思います。私は何度も「日輪の下に」を観に行って、各校の校歌を聴いていますが、いつも「なんと素晴らしい詩と曲なんだろう・・・」と唸ってしまいます。

そして最も重要なのは、各校応援団、応援部、応援指導部の方々が日頃から鍛錬を重ねていることが一目で判る素晴らしい演技披露をされていまして、それが多くの人々の心を打つのだと思います。

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埼玉県の「日輪の下に」の成功を見て、近県でも高校応援団の校歌・応援歌などの披露の場が徐々に増えつつあります。

群馬県では2008年から「群馬四校応援団演技発表会」として、前橋高校、高崎高校、太田高校、桐生高校の4校が毎年7月に演技発表を行っています。4校ともに群馬を代表する名門校揃いで、この点では「日輪の下に」と似ています。回を重ねながら発展していってほしいです。

山梨県では2009年から山梨県高等学校応援連盟が主催する「大連盟旗への集い」が12月(初年は2月と12月)に開催されています。連盟には33校も加盟していますが演技発表は例年10校前後です。

静岡県では2012年から「静岡県高等学校応援団フェスティバル」が毎年6月に開催されています。静岡県内の高校だけではなく広く県外の高校も演技披露を行うことができますがエントリー校が多く、1校当たりの時間は20~25分くらいです。

茨城県でも2年前から、茨城県高等学校応援団連盟による「霊峰の下に」という演技披露会が開催されています。下妻一高為桜応援団と境高蛍雪応援団の2校による演技発表があります。

こうした演技披露会を継続し発展させることは大変なことだと思いますが各県の連盟や発表会が長く続き発展されることを祈っております。1977年から続いている「日輪の下に」がいかにスゴイことなのかと痛感させられます。

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さて、東京六大学の付属校による東京六大学付属高等学校応援団連盟」という組織があるのですが、現在は明大明治高校と早大本庄高等学院の2校のみで構成されています。

かつては、慶應義塾高校早稲田実業も所属して「六旗の集い」という演技披露会を行っており、2007年までに43回を数えるほどでした。しかし応援部員、団員の減少により慶應義塾高校早稲田実業の2校は連盟から離れているようですし、明大中野、法政一高、法政二高、立教新座高、慶應義塾志木高は応援活動そのものが休止状態のようです。

東京六大学の応援団、応援指導部との距離が近く、直接指導を受けたりあらゆる面でのバックアップを受けて活発な応援活動ができそうにも思えるのですが、意外にも応援活動はあまりアクティブではなさそう。名門校が集まりさえすれば応援組織や演技披露会は成功するという単純なものではないようです。大学の「六旗の下に」が大人気で入場券の入手が極めて困難になっているのですが付属校の「六旗の集い」が開催を見合わせることになっています。

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こうしたことからも「日輪の下に」が44回も続き、今後もさらに発展しそうな勢いがあることは本当にスゴイことで、埼玉県民はこれを誇りに感じてよいと思います。