11月5日(火曜日)以来の古銭の紹介です。今日は、昭和15年~18年までの4年間発行された「菊10銭アルミ貨」を取り上げます。
↓ 昭和15年~18年まで発行された「菊10銭アルミ貨」
菊の御紋章と二重桜花の豪華なデザインです。
↓ 直径は22ミリですので、現在使われている5円硬貨と同じです
この「菊10銭アルミ貨」が最後に発行された昭和18年から僅か6年後の昭和24年には、我々が日常的に使っている5円黄銅貨が発行されています。
この菊10銭アルミ貨の二重桜花の図案は凹になっています。日本の貨幣の歴史上、図柄や文字が凹になっているのは他に例が無いように感じます。
また、この「菊10銭アルミ貨」は戦時中の金属不足のため、年を追うごとに薄くなっていきます。実際にノギスで測ってみましょう。
昭和15年と昭和16年前期は厚さ1.8mm 量目1.5g
↓ 昭和16年後期、昭和17年、昭和18年前期は厚さ1.5mm 量目1.2g
↓ 昭和18年後期は 厚さ1.2mm 量目1.0g
↓ (左)昭和15年 (中)昭和17年 (右)昭和18年 それぞれ20枚重ねました
これだけ厚さに違いがあります。
戦時中の金属不足の影響で、年を追うごとに薄くなってしまい、厚さや量目が異なる3種類があります。これだけ薄くしてもなお金属(アルミニウム)不足は解消されず、昭和18年を最後にこの「菊10銭アルミ貨」は製造中止。昭和19年はついに錫(スズ)貨が登場します。10銭錫貨については11月2日のブログ、5銭錫貨については11月5日のブログにそれぞれ掲載しています。
↓ 30分かけて1000枚を並べてみましたが、高さがまちまち
↓ 近づいて撮影してみます
↓ さらに近づいて撮影。
↓ そして崩します。崩すときは一瞬です
↓ 近づいてみます
↓ さらに近づいてみます。菊の御紋章と二重桜花の豪華な組み合わせ
昭和15年~18年までの4年間発行されましたが、途中2回も厚さを薄くする変更があるなど、戦時中の金属不足で切羽詰まった状況が伝わってくる硬貨です。11月2日、11月5日に紹介した「錫貨」同様、戦時中の物資不足の危機的状況を今に伝えています。この「菊10銭アルミ貨」はコイン専門店では1枚数十円から100円程度で簡単に手に入ります。