埼玉在住中小企業勤務ダメ人間の思うところ・・・

「中小企業の勤め人」に復帰し「浪人」ではなくなりましたので、ブログ名も元通りに戻しました。

FM放送では「使用不可」の周波数があります・・・

誰でも手軽に音楽放送などを楽しめる「FM放送」には76MHz~90MHzが割り当てられており、全国のFM放送局とその中継局、コミュニティFM局とその中継局、さらには中波放送のFM補完局の一部など無数の電波が飛び交っています。(中波放送のFM補完局を含めると94.9MHzまでの割り当て)

この周波数の範囲内でも、76.0MHzで放送しますと75.9MHzにまで周波数がはみ出てしまいますし、90.0MHzで放送しますと、これも90.1MHzまではみ出てしまい、76~90MHzの中に納まりませんので、この2つの周波数は初めから除外して考えますと、76.1MHzから89.9MHzまで139の周波数を使うことができます。

↓ FM放送は76.1MHzから・・・

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↓ 89.9MHzまで、1つの周波数を複数の放送局が利用しています

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76~90MHzの電波はごくまれに発生するスポラディックE層などの異常伝搬でも発生しない限り、見通し範囲を超えて電波が届くことはありませんし、FM(周波数変調)という特性により、複数の放送が混ざり合って聴こえることも殆どありません。強力な電波だけが聴こえ、弱い電波は聴こえない弱肉強食のような状態になります。

それでも、1つの周波数を複数の放送局が使っている76~90MHz帯は過密状態であるとは思います。そんな過密状態の周波数帯の中にあって、使われていない周波数が139のうち5つあります。それは・・・

 

80.8MHZ

80.9MHz

81.0MHz

81.1MHz

81.2MHz

 

です。この5つの周波数は使われていません。いや「使用不可」となっています。

昨日買ってきました、三才ブックス社刊「ラジオ番組表2020(春)」に最新のFM放送周波数リスト(2020年5月現在)が掲載されていましたが、やはり80.8MHzから81.2MHzを使用している放送局はありません。

↓ こちらで確認できます。80.7MHzの次は81.3MHzになっています

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80.7MHzには名古屋の@FMやFM福岡といった民放FMの黎明期(民放FM局が全国に4局しかなかった頃)からある老舗名門FM局があり、81.3MHzには東京都内だけでなく関東一円に非常に多くのリスナー、ファンを持つJ-WAVEがあります。この表からも1つの周波数を多くの放送局が使っていることが判ります。

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こうした中で、80.8MHzから81.2MHzを使用できないのには理由があります。

実は、81MHzの3倍の周波数、243MHzは軍用航空無線機の国際緊急周波数になっています。

仮に81MHzで電波を輻射した場合、その2倍の162MHzとか3倍の243MHzとか4倍の324MHzといった周波数に混じって聴こえたりして悪影響を及ぼすことがあります。これを高調波(こうちょうは)と言います。

81MHzの3倍である243MHzを使用する軍用航空機の遭難通信に万が一にも妨害を与えてはいけないため、81.0MHzとその前後、合わせて5つの周波数(80.8~81.2MHz)の使用は許可されません。

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以上については、平成10年4月21日付の電気通信技術審議会による「FM放送の置局に関する技術的条件」の審議結果の答申書の別表3にも記してあります。

↓ 総務省のサイトから誰でも閲覧できます

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↓ 別表3 

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この、干渉検討の方法の1番目、航空機緊急遭難周波数243MHzに対する混信排除に関する制限として、「80.8MHzから81.2MHzの周波数は選定不可」とあります。

 

そのため、FM放送局は80.8~81.2MHzは使うことができません。

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周波数変調とか、スポラディックE層とか、高調波とか、電気通信技術審議会とか、難しいことは考えなくていいです。単純に、80.8MHz~81.2MHzで放送しているFM放送は無い、とだけ知って下されば嬉しいです。

あ、すでに知っていた方も多いかもしれませんんね・・・(^^)