ゆうちょ銀行さんが来年1月17日(月曜日)からATM利用料金をはじめとした各種手数料を大幅に値上げしたり、これまでには無かった手数料を新たに設けるんだそうです。
私も30代半ばまでの10年余り、銀行に勤務していた経験がありますので、一定以上の事務コストがかかる取引であれば、銀行が顧客から手数料を徴求することについて、一般の方々よりは理解を示していると思っています。(ちなみに勤めていた銀行は2つ。2つとも倒産し消滅しました)
ですが、来年1月17日から導入されるゆうちょ銀行さんの各種手数料新設・改定には違和感を覚えます。
↓ ゆうちょ銀行の窓口などで配布されている「手数料新設・改定のお知らせ」
↓ 特に驚いたのは「ATM硬貨預払料金」の新設
例えば、手許に500円硬貨が1枚あり、これをATMで入金すると手数料が110円かかってしまいますので、入金後の残高は390円しか増えません。
↓ ATMでの払戻しの際にも硬貨が1枚でも含まれると110円の手数料を要します
まぁ、ATMで払い出す際は紙幣のみにすればいいんですが、それでもこのような手数料を新設することには違和感を覚えます。
念のため申し上げますが、銀行が顧客に相応の手数料を負担していただくことには原則として賛成の立場をとっています。私が銀行に勤め始めた当時、残高証明書の発行に手数料200円をいただくようになりましたが、その直前までは無料でした。また、どれほど大量の両替でも無料サービスで対応していました。そのような事務コストがかかるものについて手数料という形で適正な料金の範囲内で顧客に負担をしていただくことは悪いことだとは思っておりません。
しかしながら、このATM硬貨預払料金については、110~330円の手数料を顧客に負担させるほどのコストがかかっているのか甚だ疑問です。
ATMがダメなら窓口はどうでしょう?
↓ 窓口での「硬貨取扱料金・金種指定料金」
窓口は硬貨50枚以内であれば無料で入出金できますが、窓口は平日の昼間しか開いていませんので、勤め人が気軽に行けるものでもありません。
窓口であっても、51枚以上の硬貨の預金や払出しに手数料がかかりますが、ここで設定されている手数料があまりに高額でビックリです。
前述の通り、私も銀行に勤めていたことがありますので、窓口に持ち込まれた硬貨をどのように入金処理するのかは当然知っています。あの当時より現在の方がより優れた硬貨選別機などがあるでしょうから、硬貨100枚程度の入金など一瞬でできるはず。事務コストなど殆ど無いにもかかわらず、550円、あるいはそれ以上の手数料の負担を求めるのはどうなのかなぁ・・・、と思います。
「銀行」と名の付く機関であれば、紙幣も硬貨も円滑に市中に流通するよう働きかけるべきと考えますが、これでは銀行が率先して「硬貨は厄介者」と切り捨てて、その円滑な流通を妨げていると考えざるを得ません。少なくとも私はそう感じております。
-・・・-
実は今年の秋から銀行間の振込手数料が値下げされていますが、これは公正取引委員会が「銀行間の振込手数料が現に発生している事務コストを上回る水準が長年にわたって維持されている現状の是正に向けて取り組むべき」と勧告したことに依ります。今日話題にしました「ATM硬貨預払料金」や窓口での「硬貨取扱料金・金種指定料金」についても、実際に要する事務コストを大きく上回るものと考えられますので、この手数料体系導入後すぐにでも、公正取引委員会から是正勧告がなされることを期待してしまいます。
それにしても・・・ゆうちょ銀行さん、高額の硬貨預払手数料を新設し、庶民がこつこつ貯めた小銭の受入れを事実上拒絶しておいて・・・
↓ 日本の「こつこつ」の力になります。・・・だってさ~
冗談ですか? ゆうちょ銀行さん。あまりに矛盾し過ぎてて笑うしかないですよ。