前回、前々回の投稿でCQ ham radio誌とHAM Journal誌の創刊号をご覧いただきました。今回はモービルハム誌の創刊号をご覧いただきます。
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↓ モービルハム 創刊号の表紙
1973(昭和48)年5月、電波実験社より創刊。
CQ誌やHAM Journal誌の創刊号を見たことがある方は結構多いかと思いますが、それに比べこのモービルハム誌の創刊号を見たことがある方はかなり少ないのではないかと思われます。
創刊当時にモービルハム誌を購入した方々は、当時流行し始めた「カー無線」利用者が多く、「カー無線」に飽きて違う趣味に移ってしまい廃局した方が多いためモービルハム誌の創刊号は家庭ゴミや古紙回収に回された可能性が高かったのではないかと考えます。
また、その後数十年にわたって永くアマチュア無線を楽しむ正統派ハムになる方々の中には創刊した昭和48年当時はまだ中学生や高校生で自動車を運転する年齢に達してない方も多く、イメージ的にこの雑誌を買わなかったことも影響していると思います。
ほぼ同時期に創刊したHAM Journal誌の読者層は永く無線を楽しんでいる方が多いためか、その創刊号は簡単に見つかります。それに比べますとモービルハム誌の創刊号は現存数が極端に少ないと思います。
「モービルハム」という名称から車載無線の軽いノリの誌面を想像しがちですが、実際にはアマチュア無線全般の話題をバランスよく提供した極めて有益なもので、特に無線黎明期や戦前の私設実験局の話題などは他の雑誌に比べてはるかに充実しており、個人的には最もお気に入りの誌面でした。
↓ モービルハム誌創刊号の目次
当然のことですが、自動車でアマチュア無線を運用する際に役立つ情報が中心で、さらに「YLひろば」「今月のYL」「今月のおしゃれ」といった他誌には見られない記事も目立ちます。刊行を重ねるごとに本格的な運用をするアマチュア無線家をも満足させるバランスのよい誌面に成長していきます。
↓ 「今月のおしゃれ」は他誌には見られないユニークな記事でした
↓ 創刊号の編集後記
巻頭には「創刊の辞」のような記載はなく、編集後記に「創刊にこぎつけることができた感謝の念」や「創刊にまつわる苦労話」が記されています。
↓ 創刊号の裏表紙
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モービルハム誌は約27年にわたり発刊され、記事の充実度はCQ誌にも迫るものがあり自動車での無線運用をしないアマチュア無線家にも人気を博していました。
しかしながらこのモービルハム誌にも終刊の時がやってきます。
↓ モービルハム誌最終号(2000年3月号)の表紙
↓ モービルハム誌最終号の目次
SSTV、superVXO、日本古典ラヂオ同好会、DX、ハム with コンピュータ、サテライト、EME、Above1200MHz、文系ハムにもわかる無線工学、充実した読み物記事・・・、 この目次の内容からも、もはや単なる「カー無線専門誌」ではなく本格的で良質な「アマチュア無線総合情報誌」に成長したことが判ります。
↓ 休刊のお知らせ
↓ 編集部から・・・
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モービルハム誌を刊行していた「電波実験社」は2015年8月に「電波社」と改称し、同年「月刊ラジコン技術」別冊として「HAM world」を発刊。2019年から「HAM world」は独立隔月刊誌となり現在も好評発売中です。系譜的にこの「HAM world」が「モービルハム」の後継誌にあたります。
・次の投稿は無線を離れた現況報告、その次は11月の交信結果集計を投稿します。11月も皆勤賞でしたので取り急ぎこの場を借りて報告します(^^)
・無線誌「創刊号」紹介は年明けに「Hamライフ」を投稿します。