この数週間は、週末になると大雨や強風でなかなか外出ができなかったのですが、今日は久し振りに気候が穏やかな一日になりましたので、東京都墨田区堤通2丁目にある、都営白鬚東アパートに行ってきました。
都営白鬚東アパートは、知る人ぞ知る「超巨大防火壁」
「アパートが防火壁? 意味が解らない・・・」と仰る方も多いかと思います。
墨田区の隅田川と荒川に囲まれたいわゆるデルタ地域は、戦災を免れた木造住宅が今も密集しており、災害時には甚大な被害が発生することが予想されています。
関東大震災発生の際には、この地域の火災で逃げ場を失った人々約1万人が隅田川に飛び込んで命を落とす悲劇が起こっています。
そこで、この地域に防火壁と住居を兼ねた都営白鬚東アパートが造られました。昭和50年(1975年)着工、昭和57年(1982年)竣工。高さ40m、長さ約1200mの巨大な鉄筋コンクリート建造物。
では、早速写真で見ていただきましょう
↓ これです
巨大な建造物が1200メートルにわたって延々と連なっていて、本当に壁になっています。この巨大防火壁の向こう側には10ヘクタールもの広さを誇る東白鬚公園があり、10万人が避難できるようになっています。東白鬚公園の先には隅田川が流れています。
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現地で実際にこの団地群(東白鬚第一マンション1号棟、都営白鬚東アパート2号棟~18号棟)を目にし、団地に沿って歩いてみますと、本当にそのスケールの大きさに驚かされます。
それぞれの棟と棟は普段は開いているのですが、災害時には門や鉄の扉が閉じられて、防火壁として、文字通り鉄壁の防御をする仕組みになっています。
↓ 16号棟と18号棟の間の「鐘淵門」。災害時には閉じられます
↓ 2号棟と3号棟の間は狭いのでこのような鉄のシャッターが設置されています
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白鬚東アパートは、ただ単なる防火壁であるだけでなく、屋上には巨大な消火用水タンクや食料備蓄倉庫もあります。
↓ 屋上の水タンク(黄色の細長い形状)。全ての棟の水を合わせると約1000トン
↓ 避難した数万人の一週間分の水や食料を備蓄する巨大倉庫
この食糧備蓄倉庫は、12号棟から14号棟に相当するのではないかと思います。窓が無くて不気味な感じ、しかも屋上には無線通信回線なのか巨大な設備があります。しかし大量の食料や水などを備蓄している、非常に頼りになる倉庫です。
この巨大倉庫をくぐって200メートル進みますと、首都高速道路の堤通インターチェンジがあります。
そのほか、それぞれの建物には放水銃が随所に設置してあるなど、火災に対する備えも万全です。この団地やその周辺に住んでいれば、どんな災害に遭っても助かりそうですね。
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白鬚東アパートには、1カ所鳥居があります。
↓ これです「隅田川神社参道」
白鬚東アパート建設よりはるかに古くから存在する隅田川神社と参道は、巨大団地建設といっても移転させるわけにもいかないため、鳥居は残り、参道が巨大な防火壁を横切る形になっています。6号棟と7号棟の間です。
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また、9号棟の前は「梅若公園」となっていますが、ここには、梅若塚や木母寺(もくぼじ)がありましたが、白鬚東アパート建設に伴い移転しました。
↓ 9号棟の前にある「梅若公園」
↓ かつて梅若塚があった場所の碑
↓ 大正2年に建立された榎本武揚像だけが残されました
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白鬚東アパートは、あまりにも巨大な団地なので、その中に保育園が3つもあります。
↓ 写真はしらひげ保育園
ほかに、水神保育園、鐘ヶ淵北保育園があります。一つの団地に3つの保育園!! 白鬚東アパートのスケールの大きさを物語っていると思います。