毎年2月中旬から4月上旬にかけて、「サンデー毎日」という週刊誌を毎週購入して主要な大学の高校別合格者数の特集記事を40年以上にわたって興味深く読ませていただいております。
なんとなくではありますが、近年の東大合格者が首都圏の高校に偏り、地方の高校からの合格者が減少しているような印象がありましたので、今年度の「東大合格者数」の「都道府県別ランキング」の簡易調査をしてみました。なお、私自身は東京大学とは全く関係はありません。受験したことも目指したことさえもありません。都内の平凡な中堅私大しか出ておりません(^^)ゝ
「サンデー毎日」4月21日号(4月9日発売)の56頁から153頁までの「全国3435高校・有名183大学合格者数」の一覧表を利用し、東大合格者数を都道府県別にカウントし順位付けしました。
↓ 「サンデー毎日」4月21日号のこの特集記事です
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予め申し上げておきますが、これはあくまで簡易的な調査で、東大合格者の出身高校が属する都道府県ごとに単純に合格者数を足したものです。例えば、東大合格者数第1位の開成高校(東京都)は149名の合格者を輩出しており、その149名の中には千葉県や埼玉県など東京都以外に住んでいる方も数多く含まれていると思われますが149名全員を高校が在る東京都にカウントしています。
47都道府県別合格者数の合計は3038名で、推薦を含む合格者数3084名に対して98.5%にあたります。これは「サンデー毎日」4月7日号(3月26日発売)の34頁に掲載されている合格者出身高校判明率98.5%と一致しますので、簡易調査とはいえある程度の精度は保っているものと思っています。
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なお、この記事は東大合格者数の多寡により各都道府県の教育水準や県民の知的水準などの優劣をつけようといった性質のものではありません。各都道府県の擁する人口や東京までの距離など条件が異なります。単に都道府県別にどれだけの東大合格者がいるのかを判りやすく示し、首都圏と地方の間に東大合格のハードルの高さの差があるのかどうかを調べようとするもしたです。
では東大合格者数が多い順に発表します。合格者数が同数の場合は合格者を輩出した高校の数が多い(合格者の偏りが少ない)都道府県を上位としました。「輩出校数」は東大合格者を1名でも輩出した高校の数です。
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合格者数 輩出校数 最多の高校(人数)
1位 東京都 1044 92 開成(149)
2位 神奈川県 356 35 聖光学院(100)
3位 兵庫県 182 18 灘(94)
4位 千葉県 171 13 渋谷教育学園幕張(64)
5位 愛知県 156 20 東海(36)
6位 埼玉県 118 18 県立浦和(44)
8位 福岡県 74 9 久留米大付設(32)
9位 大阪府 65 20 北野(20)
12位 茨城県 46 11 土浦一(16)
13位 鹿児島県 46 5 ラ・サール(37)
14位 岡山県 39 9 岡山大安寺中教(13)
15位 北海道 35 10 札幌南(11)
16位 京都府 35 8 洛南(12)
17位 栃木県 33 9 宇都宮(21)
18位 富山県 30 5 富山中部(15)
19位 石川県 30 4 金沢泉丘(21)
20位 宮城県 29 6 仙台二(17)
21位 群馬県 28 8 高崎(8)
22位 長崎県 23 7 長崎西(7) 青雲(7)
23位 熊本県 20 6 熊本(14)
25位 愛媛県 19 4 愛光(12)
26位 岐阜県 17 8 岐阜(9)
27位 新潟県 16 6 新潟(11)
28位 福島県 14 5 安積(5) 福島・県立(5)
28位 岩手県 14 2 盛岡一(13)
30位 山形県 13 4 山形東(10)
31位 長野県 12 8 松本深志(4)
32位 香川県 12 4 高松(7)
32位 宮崎県 12 4 宮﨑西(9)
34位 徳島県 11 3 城東(6)
35位 秋田県 11 2 秋田(8)
37位 福井県 10 4 藤島(6)
38位 山梨県 9 6 甲陵(3)
38位 和歌山県 9 5 桐蔭(3)
42位 高知県 8 2 土佐(7)
43位 佐賀県 7 5 佐賀西(3)
45位 島根県 4 4 出雲(1) 津和野(1) 益田(1) 松江北(1)
46位 沖縄県 4 2 開邦(3)
47位 鳥取県 3 3 倉吉東(1) 米子東(1) 青翔開智(1)
以上です。
東京都の高校が合格者の約34%を占め、それに神奈川・千葉・埼玉を加えた首都圏の1都3県にまで範囲を拡げると合格者の55%を超えます。東大合格者の半数以上がこの1都3県に集中していることが判ります。逆に31位以下の17県、66校の合格者を足しても開成高校1校の数値に及ばないことも判りました。47都道府県のおよそ半分の23県では県全体の東大合格者数が20名未満ですが、首都圏の1都3県には合格者20名以上の高校が24校もあり、その違いが鮮明に現れています。
首都圏以外で上位に食い込んでいる府県(兵庫、愛知、奈良、福岡、広島、鹿児島、京都)には全国的にその名を知られた中高一貫の進学校があり、その府県の合格者数を押し上げています。
中高一貫校で効率よく学び、東大や医学部受験に特化した専門塾で充実した受験指導を受けることができる環境と、そうではない環境とではどうしても差が生じてしまいます。
地方の公立高校の中には合格者数が往年に比べて2分の1から3分の1程度にまで減っているところが散見され、逆に首都圏では10年くらい前までは目立った進学実績がなかったのに今年度は10名を超える東大合格者を輩出している高校が目につきます。首都圏や有名私立進学校がある都府県とそれ以外の県との格差は簡単には縮まりそうにはないという印象を受けた次第です。