私は昭和57年3月に高等学校を優秀とは言えない成績で卒業し、すでに38年経過しています。母校愛が著しく強いわけでもありませんが、そこそこの愛着はあり、年間2000円の同窓会費を毎年払い込んでいますので、A4判20頁にも及ぶ立派な同窓会会報が毎年1回送られてきます。
同じ昭和57年卒業生の中で、同窓会費を払っているのは、感覚的には5%あるいはそれ以下かな・・・、と推測します。高等学校の同窓会費納入率は大都市圏にある有名ブランド校以外はどこでも概ねこの程度ではないかと思います。
なお、同窓会費を納め、同窓会会報を熟読している私ですが、同窓会総会や懇親会などには、恥ずかしいので参加したことはありません。
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7月に入ってすぐに今年度の同窓会会報が届きまして、急に高等学校の近況が気になりましたので、学校のホームページを覗いてみました。すると・・・
以前から予想はしていましたが在籍生徒数の男女比が、ついに女子が多数派になっていました。
令和2年5月1日時点の生徒数(1年~3年)854名の内訳
男子 390名 女子464名 でした。
私が高等学校に通っていたころは、概ね男女比は3:2くらいで、少数派の女子はモテモテでした。
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日清・日露戦争のころに旧制中学として創立し、明治~大正~昭和の終戦までは男子校で、女子の入学が認められたのは戦後数年経って新制高校になってからです。女子の入学が認められたとはいえ、昭和20年代~30年代初頭の卒業生名簿には女子の名前はほとんど見当たりません。
女子が初めて入学した年から約30年経ったころに私は入学したのですが、その頃ではすでに女子の入学者は特に珍しくはなく、生徒数全体の4割くらいが女子。それでも以前に比べて女子が随分増えたと考えられていました。
あれから40年が経ち、今では女子が過半数、約55%を占めるようになりました。
かつては「質実剛健」「剛毅質朴」といったイメージのバンカラな校風だったのですが、女子生徒が過半数を占める現状では、校風は随分変わってしまったのだろうと思います。今は少数派の男子生徒がモテモテなのかな?
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明治・大正期からの旧制中学時代の流れをくむ県立の男女共学伝統校では、どこも同じような傾向なのか気になって調べてみました。
しかしながら、男女別の生徒数をホームページ上で公表している高校は意外と少なく、例示できる数はそれほど多くはありません。
また、東京都立高校は募集定員そのものが男女別に定められていますので、調査の対象外となります。そして、埼玉、栃木、群馬の県立伝統校には男女別学(男子校・女子校)の高校が多く、やはり調査の対象から外れます。
高校ごとにホームページの仕様が異なり、男女別の生徒数が公表されているにもかかわらず、私が見落としている場合もあろうかと思います。
また以下に示した男女別生徒数は、各高校の全日制の生徒数のみで、定時制や通信制の生徒数は含んでいません。
それでは数少ない調査結果を示します。
◎北海道旭川東高校(令和2年4月8日現在)
男子419名 女子379名 女子の割合47.5%
男子の数が上回っています
男子 115名 女子116名 女子の割合50.2%
◎千葉県立千葉高校(令和2年4月1日現在)
男子 568名 女子399名 女子の割合41.3%
男子の数が上回っています
◎千葉県立船橋高校(平成31年4月1日現在)
男子 616名 女子472名 女子の割合43.4%
男子の数が上回っています
◎神奈川県立希望ヶ丘高校(令和元年10月1日現在)
男子 604名 女子470名 女子の割合43.8%
男子の数が上回っています
◎神奈川県立湘南高校(平成30年4月1日現在)
男子 643名 女子436名 女子の割合40.4%
男子の数が上回っています
◎神奈川県立横浜翠嵐高校(2018年4月現在)
男子 677名 女子400名 女子の割合37.1%
男子の数が上回っています
男子 532名 女子550名 女子の割合50.8%
1年生に限りますと・・・
男子 165名 女子204名 女子の割合55.3% になります
◎新潟県立長岡高校(令和2年5月1日現在)
男子 465名 女子478名 女子の割合50.7%
1年生に限りますと・・・
男子 150名 女子171名 女子の割合53.8% になります
◎長野県長野高校(令和2年4月14日現在)
男子 436名 女子403名 女子の割合48.0% ですが・・・
1年生に限りますと・・・
男子 132名 女子151名 女子の割合53.4% です。
男子 377名 女子460名 女子の割合55.0%
男子 397名 女子449名 女子の割合53.1%
男子 644名 女子448名 女子の割合41.0%
男子の数が上回っています
男子 582名 女子485名 女子の割合44.9%
男子の数が上回っています
男子 463名 女子497名 女子の割合51.8%
公表されているデータは探せばまだ見つかるのかもしれませんが、今のところ見つけたデータはこれくらいです。
特に新潟県と富山県は県内トップ進学校や地域を代表する名門校も女子の割合が50%を超えており、長野県もそれに続きそうな傾向が見られます。
大都市圏の県立共学伝統校では今でも概ね男女比が3:2で男子の数が上回っていますが、数十年前に比べれば女子の割合が増えてきているのではないかと思います。
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簡単な調査でしたが、明治、大正時代から続く公立の伝統校、名門校に通う女子生徒の方々の割合が大きく伸びていることが判りました。ほぼすべての卒業生が有力大学進学を志向するこれらの高校に数多くの女子生徒が通うことは、女性の社会進出を促進する上での底固めとなりますので、歓迎すべきことだと思います。
一方で、100年を超える伝統を受け継いだ校風が少しづつ変化し、学校として目指す方向性も見直しを迫られることも避けられなくなっています。
一例をあげますと、県立新潟高校の10年前のホームページでは「質実剛健の校風を受け継ぎ、自主自律、文武両道をモットーとする」としていましたが、現在では「真理追究、自主自律、社会貢献」を教育目標としています。10年後には男女共学伝統校からは「質実剛健」とか「剛毅質朴」などといった言葉は聴かれなくなっているかもしれません。