表題の通り、現在の勤め先に入社して以来社宅で暮らしています。新卒で社会人になって以来、勤めてきた会社の殆どは独身寮や社宅がありましたので、会社の福利厚生施設に助けられてきた半生です。
まともな社会人ならば、一定の年齢になれば住宅を購入するのでしょうが、そのタイミングというかきっかけを掴めないでズルズルとこの歳になってしまいました。
こんな私なんですが、かつて銀行に勤めていた頃は住宅ローンや住宅金融公庫融資を担当してお客さまの住宅取得を支援する立場にあったんです。でもこれが住宅購入を躊躇することになる遠因になってしまったのではないかと考えています。
住宅ローン返済で苦しむ人々、住宅ローンがあるために常軌を逸したブラック企業勤務から抜け出す行動を起こせない人々、ついにローン返済が滞り続けて泣く泣くマイホームを競売に出すことになる人。目の前で実際に起こる数々の悲惨な出来事。こうした事例が今なお思い出されますが、こうした場面を見てしまうと恐ろしくて借金して住宅を購入しようなどと考えなくなります。
さらに、住宅ローンを申し込まれる客層による露骨な差別もイヤな思い出。例えば国家公務員様だとか医師の先生様が住宅ローンのお申込みをされますと、別室にお招きして高級緑茶を飲みながら支店長と談笑し楽しく手続きを進めます。逆に中小企業に勤める低所得層の客が来ますと、当時まだ若かった私のような一担当者に、「うーん、収入が基準を下回ります。ご家族との収入合算が必要ですね。自己資金も足りないですよ。」なんて言われて屈辱的な思いをすることに・・・。
加えて、固定金利か変動金利の選択や、元金均等返済か元利均等返済の選択もお客さまが不利に、銀行が有利になるように誘導する悪辣ぶり。自分でもイヤになります。
現在の勤め先に転じたのは17年前。長く勤める自信がなく、数年すれば辞めることになり新しい勤め先を探してまた転居することになると予想していましたし、先ほど書きましたようなイヤな思い出もありましたので、住宅取得は考えませんでした。
当時は長男が5才、長女が1才でした。あれから17年も社宅に住み続け、長男が国家公務員として働き、長女もあと2週間しますと地方公務員として働くことになります。
4月からは、「民間企業の福利厚生施設である社宅」の一室に「中小企業の冴えないダメ事務員」と「小規模会社のパート従業員兼主婦」と「国家公務員の事務官様」と「地方公務員の事務職員様」が同居するというあまり例を見ない事例が生じます。
貧弱な建物で壁が薄いため隣室からの音が聞こえ、雨漏りもあり、すきま風が入り込み、断熱材が剥がれ落ちているからか夏は恐ろしく暑く冬は極端に寒い。最寄駅から徒歩数十分のロケーション。ガレージもなく雨天の日は大切な自転車がずぶ濡れ。
中小企業の福利厚生施設ですのでこんなもんですが、国家公務員様も地方公務員(4月から)様も幼稚園、小学校、中学校、高校、(長男は専門学校も)と過ごしてきてたくさんの思い出が詰まったこの社宅をとても気に入っており、一人暮らしや転居はしたくないとのこと。
なんだか救われる思いがします。