建設現場や工場で見かける「安全第一」というスローガン、誰でも一度は目にしたことや耳にしたことがあるのではないかと思います。
↓ 勤め先の工場にある「安全+第一」スローガンの掲示
この「安全第一」というスローガンには、建設現場や工場で働いていて毎日のように「安全第一!安全第一!」と唱和している人々にも意外と知られていない逸話があります。知ってトクする話でもありませんが、まぁ、「知っておいて損はない」程度にお読みくだされば嬉しいです。
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「安全第一」というスローガンは、語呂もよく解りやすい言葉ですので、日本発祥のものかと思われがちですが、実は米国発祥で、英語の「safety-first」を和訳したものなんです。
1900年代初頭の米国は不景気のあおりを受け、労働者の多くは劣悪な環境の中で危険な業務に従事していました。その結果、労働災害が多発してしまいます。
当時、世界有数の規模を誇っていた製鉄会社、USスチール社の社長で熱心なキリスト教徒でもあったエルバート・ヘンリー・ゲーリーは、労働者の苦しむ姿に心を痛め、それまでの会社の経営方針「生産第一、品質第二、安全第三」を抜本的に改め、「安全第一、品質第二、生産第三」に替えました。
「安全第一」には続きがあって「品質第二」「生産第三」もあるんですね。
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「生産第一」から「安全第一」に方針が変わると、米国の労働災害は一気に減少し、品質や生産も景気回復の波に乗り、この「安全第一」というスローガンは米国全土、そして世界中へと広がっていきます。
日本には、大正5年(1916年)に北米旅行中の前逓信省管理局長の内田嘉吉氏がいたるところで「SAFETY FIRST」のスローガンを目にして感銘を受け、帰国後に「安全第一運動」を提唱し日本全国に広まります。
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今日の記事はWikipediaの切り貼りのようになってしまいました~(^^)
「安全第一」というスローガンは、危険作業に従事する作業員が気を付ければいい、という単純で近視眼的なものではなく、その成り立ちを考えますと、経営トップの姿勢として「自社の労働者を労働災害から護る」という崇高な理想と強い決意を表したものであってほしいと個人的には思います。
・・・と、まぁ、こんなことを考えているから勤め先の経営幹部や管理職諸氏から煙たがられ、敬遠されるんですよね・・・。